吸い込まれる

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散歩中、何かが飛んできて俺の頭を強かに打ち付けた。何だ?何が起こった?
混乱する俺のもとへ、女性が青い顔して走って来る。
「すみません!大丈夫ですか?」
女性は焦っており、俺の返事も待たずに怪我をしたであろう場所、俺の頭部を確認するために帽子を剥ぎ取った。
「あっ…」
その拍子にカツラまで取れる。女性は顔をより青くさせた。
「怪我なら大丈夫ですよ。そのカツラ、衝撃吸収素材で出来ているんです。まさに毛がなくて良かった!」
俺はカツラメーカーの技術者だ。先程の衝撃は全てこいつに吸い込まれている。
俺の冗談にホッとした女性は、せめてものお詫びにと俺の頭に「いたいのいたいのとんでいけ~」とおまじないをかけてくれた。俺はその手を掴んだ。
「俺は貴方と一緒にいたい」
思わず、告白してしまっていた。それほどに女性は魅力的だった。

「これが母さんとの出会いだ」
子供達は俺と妻の馴れ初めを聞いて爆笑した。
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公開:19/09/10 18:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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