蝉の声

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スコップが土を抉る感触。汗が伝う首筋。鉄さびと、土と汗のにおいが混じる。
自分自身の乱れた呼吸音が、耳に薄い膜が張られているみたいな聞こえ方をする。
けれど遠くから聞こえてくる蝉の声だけは
やけに鮮明に聞こえた。

目が覚める。ひどく汗をかいている。
2週間前、あの男を山奥に埋めに行ってからというもの、いつも同じ夢を見る。
それを見るたびに蝉の声が大きくなっている。最近は目が覚めてもその声が耳鳴りのようにずっと鳴り続けている。
確かに蝉の声がうるさい一日だったが、これほどまで記憶にこびりついているとは。早く治ればいいが。


翌日。頭が割れてしまいそうなほどの音で目が覚める。
蝉の声。
耳を手で塞いでも意味がない。
痛い。うるさい。
苦しい。息ができないほどに。
もういい。もう。
「楽になりたい」

蝉の声が、止まった。恐ろしいほどの静寂に包まれる。

「止まった……」


──次の瞬間
ホラー
公開:19/09/10 17:40
スク― 忘れたいセミ

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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