吸い込まれる

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仕事から帰ってくると、今日も愚痴を溢しながら鏡の前でメイク落としを始める。
鏡を覗き込むとしかめっ面を浮かべている私がいた。
「ねぇ私。もういい加減にしてくれない?」
鏡の中の私が文句を言ってきた。
「毎日毎日愚痴ばっかり…たまには楽しい話題の一つでも聞かせてくれない?」
今日はよほど疲れているようだ。シャワーを浴びるとすぐに寝た。

翌朝、鏡を覗き込むと私の姿がなかった。
『もうあなたの愚痴を聞かされるのはたくさん。鏡出します』
代わりにルージュの伝言があった。
それは困る!お願い!戻ってきて!
私が現れた。
「今日は楽しい話題の一つでもすること」
鏡の中の私はぶっきらぼうにそう言った。
私はその日、私が喜びそうな服を買って帰った。
「さすが私!いいセンスしてるわね!ね、早速着てみてよ」
私は仕事の疲れも忘れ、一人ファッションショーを開催した。
久しぶりに悦びの声が鏡に吸い込まれる。
公開:19/09/09 18:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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