そんな彼女の武勇伝

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ある日、両親から「お前が立派な風になれるように家庭教師を用意した」と言われ、私は飛び上がって喜んだ。
クールな木枯らし?
熱血な春一番?
いえ、イケメンもいいけど、美人なお姉さまハリケーンも捨てがたいわ。
でも、やって来たのは、温厚そうな温帯低気圧のおばちゃんだった。
「よろしくね」
ガッカリしている私を見て、彼女は自己紹介するように話しだした。
「私が台風だった頃はね…」
昔はヤンチャだったという彼女の武勇伝はとても面白かった。
「でもね、1000hpaを切るには才能がいるのよ」
彼女は台風になったものの、偏西風に邪魔されて日本列島を直撃出来なかったらしい。
「まあ、その偏西風が今の旦那なんだけどね。今じゃすっかり落ち着いて、平凡な温帯低気圧よ」
ウフフゥと幸せそうに笑う彼女。
「そ、そこ、もっと詳しく聞かせて下さい!」
まさかそんな出会いがあるなんて。
私も台風を目指してみようかしら。
ファンタジー
公開:19/09/09 17:49
スクー 台風家庭教師

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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