まちへん

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「お前はもう更新されないから」
私はスペックが古いことで銀行をクビになった。
いまや銀行の業務は最新のAIが行い、店舗や行員ロボットは縮小整理されていた。
私は人間の勝手に怒りを覚え、銀行を襲った。
「頭取を出せ」
私は本店の窓口で拳銃を構えた。
窓口にはモチヅキハナエだけが残されていて、驚きモードで私を見ている。
「ここにはもう誰もいないわ」
彼女は私と同期の旧型ロボットで、話すうちに、モードを慈しみに変えてくれた。
人間たちは新しい街へと移り、この街は棄てられた。
「早く逃げて」
もうすぐこの街の電源は落ちるらしい。
「君も一緒に行こう」
「私はここで遺跡になる」
そのときだ。街は停電して、誰かが扉に鍵をかけようとしていた。
私は扉に発砲して表に出た。
逃げてゆく男を私はアスリートモードで追いつめた。
「なぜこの街を棄てる?」
男は言った。
「街変更だよ。今なら違約金かからないから」
公開:19/09/09 16:45
更新:19/09/09 16:49

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