吾亦紅(七)‐完

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秋から冬へ移ろう、北の境。
土盛りの粗末な塚に、薬猟師は帝に授かった形見を埋めた。
子護りの勾玉。次の生に幸あれと願って。薬猟師が一生遊び暮らせる値に違いないが、任を果たした褒章で、家族に過ぎる程の銭も頂いた。欲をかかず、あるべき場所へ送るのが筋である。
「死人に譲るなら、吾にくれてもよいものを」
隣りの長身が、まんざら皮肉でもなく笑った。
「空の塚では有難みがない。形代の一つも葬らねば」
世と皇統の為、我が子を鬼に仕立てた母である。今は死人と納得しても、いつまた手を伸ばさぬとも限らぬ。証は残さぬ方が安全であろう。
「やれやれ、ようやく全て片付いた」
土を払って見返ると、かちりと眼が合う。
「もう戻るのか?」
「じき雪が降る」
「道中降るか知れぬ。……春まで待たぬか?」
「春までは嫌じゃ」
近付いた手がぴたりと止まる。
「妻問いならば、生涯共にと言うのじゃ」
少し空いて、ぴたりと重なった。
ミステリー・推理
公開:19/09/12 04:00
原案:吾亦紅(われもこう) 白雪姫、和風アレンジ ご観覧ありがとうございました。

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。

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