吾亦紅(二)

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「己が血では治せぬか。不便だな」
薬猟師の苦った声に、地楡は弱く応じた。
「殺して血を絞れば、用は済んだはずだが」
「効かぬ薬など持ち帰っては、物笑いの種よ。遥々北の境まで来て、とんだ無駄足じゃ」
手当ての済んだ腹と、薬猟師の足に巻いた布を比べ、地楡は眉をひそめた。薬猟師の知る都の民とも、旅先で見た鄙の民とも違う。しかし紛れもなく人の顔。
「外海の果て、雪肌紅毛の異民が住むと聞くが……」
「仔細は知らぬ。それより、早く都へ帰れ。若い娘には似合わぬ」
思わず薬猟師は着物の衿を閉じた。これまで見破る者などなかったものを。
「余計な世話じゃ。えぇまったく、帝よりの御下命と言うに、もはや顔向けもならぬ」
「今の帝は女帝であったな。其方に地楡を狩れと、直に仰せに?」
「まさか。触れを見て名乗り出た。首尾良く仕留めれば先は安泰じゃ」
暫く目を瞑り、瞑ったまま地楡が続けた。
「手当ての礼に、策をやろう」
ミステリー・推理
公開:19/09/11 23:00

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
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