正義のヒーロー

悪を懲らしめ、世界を救う正義のヒーロー。確かに小さい頃は憧れた。
だけど大きくなるにそれは薄れた。正義を貫くにはこの世は正義があまりに多すぎる。自分の正義を貫けば誰かの正義を傷付け、僕は悪になる。
だから僕は黙った。なのに彼等は僕を平気で傷付ける。彼等自身の正義を振りかざして。今更僕が何を言っても彼等には届かないのか。黙っていた僕が悪なのか？僕はただ、静かに生きていたいだけなのに。

そこに僕の味方が現れた。彼は自分を僕を救いにきた正義のヒーローだと名乗った。正義のヒーローは僕を傷付けた彼等を問答無用で皆殺しにした。
正義のヒーローは
「悪は滅びた、正義は常に勝つのだ。」と言い残して消えた。

翌日皆殺しにされた人々の家族がやってきた。
「お父さん、お母さん。」
泣き崩れる少女を制して男が話しだす。
「お前は罪もない人々を殺した。我々の家族をだ。お前は悪魔だ。神の名の下にお前を殺す。」