夜道で迷えば

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私は、その日、残業で仕事の帰りが遅くなりました。
腕に巻き付けている時計の針を見た時には、深夜の二時を回っており、終電に間に合わなかったので、徒歩で帰路につきました。

線路沿いに足を進めれば、すんなりと家につくはずだったのですが、夜で目の前が真っ暗だったため、ふとした拍子に道を外れてしまいました。

段々と、都会から遠のいていく内に、路地に入り込んでいました。
通路は、猫の額ほどで、植木や金魚鉢が置かれていました。

ちょうど、出口にさしかかった時、一人の老婆が私の行く道を塞ぐように立っていました。

「あなたの帰りを待っていました。さあ、こちらです」

老婆は、私に丁寧なお辞儀をすると、下界へと案内をしました。

翌日、私は現世にいませんでした。
こうして、下界で原稿を書いているのが不思議で仕方ありません。
ミステリー・推理
公開:19/09/07 21:25
更新:19/09/07 21:30

神代博志( グスク )









 

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