ようぜい

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私は、筑波山の峯からそっと流れてくる峯の川を眺めていた。
それは、まるで、私の恋のように、深い淵を作るように、次第に積もっていった。

恋は川のように流れ、山の下へと流れ落ちる。
私は、それを見失わないように、片方の下駄が外れても、裸足のまま夢中で追いかけた。
肩で息をしながら、両の手をせわしく動かし、足で漕いだ。

私の恋は、やがて、深い溝に潜り込み、貴女がいなければ、もう何も映せなくなった。
淵の中心にいる貴女がいて、はじめて、それは成立する。

私は、貴女と恋仲になった今でも、あの頃の恋歌を忘れられずに、
呆けたように顔を赤らめては、貴女の姿に魅了され続けているのであった。
その他
公開:19/09/06 21:04

神代博志( グスク )









 

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