押し入り強盗

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五〇年前。
私の妻は、押し入り強盗に遭い、刺殺された。
しかし、犯人の目撃証言、証拠が一切なく、事件は迷宮入りした。

そして、今、私は、妻を殺害した人物が入院している病室に来ている。

「あなたが、私の妻を殺害したんですね」

白いベッドの上では、吸引器具をつけている妻の前夫が虚ろな目をしながら眠っていた。

その日、彼は、私が外出をしている内に、ベランダから家宅に入り、犯行に及んだ。

「妻が、どうしても、手放せないと小箱の中にしまっていた写真にあなたの姿が映っていました」
私は、写真を彼の上に放り投げる。

彼は、虚ろな目を開き、無口な天井に手をのばした。

「まだ、美雪の分まで生きたい。ここで死ぬわけにはいかない」

「あなたが、死んでも妻は戻ってきません。どうか、天国で罪を償ってください」
私は、彼から吸引器具を取りはずした。
ミステリー・推理
公開:19/09/08 20:20

神代博志( グスク )









 

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