叶わなかった願い

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「今でも時々消えて無くなりたいと思うことがある。死にたいとはやっぱり少し違う。言葉で説明するのは難しいから、今でも無理、話せる時が来たら話すよ。」

結果的にそれがあの少年の最後の言葉になった。それ以来彼に会ったものは居ない。不思議なことを言う人だな。
初めて彼がやって来てから、結局その印象は変わらなかった。

「消えて無くなりたい」少年の口癖だった。所構わず口に出してしまうのは大人びた彼が残した幼さだったのだろう。
「死にたいの?」と思わず僕が零した問いに、彼はそれもまた違うと答えた。
「今まで父さんや母さんから、生まれて来なければ良かったって言われて来たんだ。僕もそう思う。死にたい訳じゃないんだ。最初から此処にいたくなかった。」

今ならあの少年の願いの意味がわかる。結局、彼の願いが叶うことは無かった。
確かに彼は此処で生きていたから。思い出に深く刻まれた。
彼はきっと死んだ。
青春
公開:19/09/04 12:39
更新:19/09/04 12:52
願い 青春 自殺願望 死にたい 消えたい

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