金風鈴

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夏祭りの夜店。とある屋台が目に留まった。水槽とその中で泳ぐ金魚。
店の四角いテントには
『金風鈴』
と書かれていた。
「この金魚、ピンポンパール?」
店のおじさんに聞く。
「おっ、よく知ってるねぇ!」
とても大きな声。

ピンポンパールはピンポン玉を飲み込んだみたいな形の金魚だ。その脇を琉金が優雅に泳ぐ。
「実はこの金魚、ただの金魚じゃないんだ。風鈴になるんだよ」
僕が首を傾げると
「実際に掬い上げてからのお楽しみ!」
おじさんは真っ白い歯を、ニッと見せた。

金魚は水槽に入れず、部屋に直接放していいのだそう。
そっと袋から出してやる。すると。

りん、りんり、り。
金魚たちが尾びれを振るたび、澄んだ音が部屋を包む。
おじさんが最後に話していたことを思い出す。

クーラーとか文明の利器に頼るのもいいけど、たまにはこういうので涼むのもいいぞ。

何だか不思議と部屋の中が涼しくなった気がした。
ファンタジー
公開:19/09/04 08:22
スク― 金魚のクーラー

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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