夏の行く、

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アルバムのラストページ。固まった脚を見て、まだこんな所にいると思う。
手焼きの鶏卵紙のセピアをタン、と指弾に驚かせば、朝まだきを引っ繰り返された雄鶏の声で色を刷く。
夏のキャンプの川遊び。黒ずんだ茱萸(ぐみ)がスグリの紅に早変わり。俺が少ない小遣いで貢いでやったサンダル、君は惜しげもなく水没させて足蹴にしたんだ。いや、いいよ構やしないよ。履いてもらえりゃ本望ってもの。今じゃ履けも吐けもしない。
踊り狂ってちょん切られた赤い靴。言うなれば、そいつが俺の男心。

ライターの光にせせらぎがゆらゆら。引っぺがして灰皿の上。あと数センチで、

燃える様な真っ赤なサンダル。
本気で燃しちまえば清々するってのに、また戻してパタンて閉じて、そんでもって、来年もそのまた来年も開くんだろな。
ソンでも良いって思える程の価値を、負け犬が懲りずに抱き続けてる。それっぽっちのしけた話さ。

なぁ、君は今、誰と歩く。
青春
公開:19/09/03 21:00

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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