遠隔ブラック企業

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一人暮らしの老婆の家に、ランドセルを背負った女の子が訪ねてきた。

「こんにちは」
「あら、可愛いお客様ねぇ」
「わたしサチコ」
「サチコちゃん。何か用かしら」
「おばあちゃんとお話ししたいの」
「そう。じゃあ、お上りなさい」

老婆はサチコの話を聞きながら、眠ってしまった。

サチコは、高層マンションの一室に帰ってきた。
「ただいま」
リビングのドアを開けると、中年の男が待っていた。
「お帰りサチコちゃん」
男はサチコのランドセルから、中にあるものをテーブルの上に並べた。

すべて、高価な貴金属ばかりだ。

遠隔操作で少女のロボットを操って、盗みを働かせていたのだ。
「子どもなら警戒されないからな。これを量産してブラック企業に売り込むぞ」
その時、
「証拠はつかんだぞ」

あの老婆だった。ドアロックを解除して男の前に現れたのだ。

「私は囮のロボットさ」
外から遠隔で刑事が操っていた。
SF
公開:19/09/06 19:27
スクー 遠隔ブラック企業

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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