ハーバリウム

遠距離恋愛中の仮女からハーバリウムが届けられた。
『これを私と思って部屋に飾ってね』
そう書かれた手紙を破り捨て、俺は本命の彼女の家に行く。
彼女は花が大好きでね。俺が「ハーバリウムを趣味で作っている」って言ったら簡単に付き合うことが出来たよ。仮女様々だ。
「新作のハーバリウム、ファイアフラワーで作ってみたんだ。作り方は秘密だけど花火みたいで素敵だろう？」
全て仮女の受け売りである。
彼女は目を輝かせ、うっとりしている。
手に取って見たい？仕方ないな。
俺は彼女の要望に応え蓋を開けた。するとファイアフラワーは花火のように飛び散り、俺と彼女は勿論、彼女の家すらも全焼させた。

私はそのニュースを見てため息を吐いた。やっぱり彼は浮気していた。
こうなることを予想して、私はファイアフラワーを送ったのだ。
ファイアフラワーの花言葉は「嫉妬の炎」。
私は元彼との思い出を全てファイアフラワーに与えた。