覚めない眠り姫
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僕の姉は、寝る時に人工呼吸器が欠かせない人だった。
おやすみの挨拶をしてから、ベッド脇の機器を操作し、調気マスクを装着して就眠する。隣の部屋の僕には、機械の稼働やバイタルを示す電子音が絶えず微かに聞こえ、それが僕にとって姉の寝息だった。
睡眠時過呼吸症候群。脳波がノンレムを示すと、呼吸頻度・速度が増大し過呼吸に陥る。原因は不明だが、姉の脳は深い睡眠を異常事態と認識するらしく、その強い不安が過呼吸として現れるのだろうという事だった。眠る度に発作が起き、酷い時は心臓が止まりそうになる。機械で呼吸を調節しないと、突然死しかねない。
今夜もアラートが鳴り響いた。
対症処置は出来ても、発作を起こさない様には出来ない。苦しんで目を覚まし、眠ればまた発作に襲われる。切れ切れの浅い眠りを繰り返す姉は、いつも眠そうで辛そうで。
だから助けてやりたかった。
おやすみ姉さん。これでお互い、ゆっくり眠れるね。
おやすみの挨拶をしてから、ベッド脇の機器を操作し、調気マスクを装着して就眠する。隣の部屋の僕には、機械の稼働やバイタルを示す電子音が絶えず微かに聞こえ、それが僕にとって姉の寝息だった。
睡眠時過呼吸症候群。脳波がノンレムを示すと、呼吸頻度・速度が増大し過呼吸に陥る。原因は不明だが、姉の脳は深い睡眠を異常事態と認識するらしく、その強い不安が過呼吸として現れるのだろうという事だった。眠る度に発作が起き、酷い時は心臓が止まりそうになる。機械で呼吸を調節しないと、突然死しかねない。
今夜もアラートが鳴り響いた。
対症処置は出来ても、発作を起こさない様には出来ない。苦しんで目を覚まし、眠ればまた発作に襲われる。切れ切れの浅い眠りを繰り返す姉は、いつも眠そうで辛そうで。
だから助けてやりたかった。
おやすみ姉さん。これでお互い、ゆっくり眠れるね。
ホラー
公開:19/09/05 20:10
本当だったら怖い仮定の医学
睡眠時過呼吸症候群
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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