蚊と筋肉

こんな話がある。
蚊が血を吸っている時、その場所に力を籠めると蚊の吸い口が抜けなくなる。
これは一度見ると病みつきになる。吸い口が皮膚から抜けず、蚊が焦るんだ。中々お目にかかれない貴重な光景だ。

しかしこれには一つ問題がある。蚊の吸い口を筋肉で縛り付けるには、かなりの筋肉量が必要なんだ。
生半可な筋肉ではダメだ。だから俺は体を鍛えることにした。

そしていざ、最高の筋肉を手に入れたところで気付いた。俺は蚊に血を吸われにくい体質だったんだ。
そこで俺は蚊について調べた。すると奴等、黒いものに集まってくる習性があると書いてあった。
だから俺は体を焼いたよ。見ろ！この蚊が思わず集まってきそうな健康的な小麦肌を！
俺は蚊を集める際のポージングにも拘った。

…そして気づけば、俺は日本ボディービルダー界のトップになっていたと言うわけだ。
バカな話と思うだろう？案外、事の始まりはそんなものさ。