吸い込まれる

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「いいか爺!絶対にその手を放すんじゃねぇぞ!」
俺は今、険しい崖を今にも死にそうな爺と登っている。何でこんなことになっているかって?それは俺が死んだからさ。
閻魔様が言った。「その御老人と一緒にこの山を登りきることが出来れば、天国に行かせてやろう」と。
だから俺はこうして山を登っている。
さっき、足を踏み外し落ちそうになったところを爺に助けられた。
爺の節くれ立った手が痛い。さっさと引き上げろ!
爺は笑っている。何がおかしい?
「お前さんの手、絶対に離さんよ」
爺の手は針だらけになった。
「儂の手はサボテンじゃ。どうじゃ?痛いだろう?なら、手を離したほうがいいぞ」
言われるまでもない!俺はジジイの手を振り払った!
あっ…
俺は崖から真っ逆さまに落ちていく。底の見えない闇に吸い込まれていく。
爺も一緒に飛び降りてきた。
「サボテンとは仙人の掌と書く。儂はお前を離さんよ」
爺は俺に抱き着いた。
ホラー
公開:19/09/05 18:47

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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