しちゃうから

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「今後外出は一切できません」
「そんな…」
「生活は国で保障しますが、このことは家族や恋人であっても話すことはなりません」
会社の昼休みに受診した近所の皮膚科。
医師の通報で駆けつけた国の係官によって、私は個室に隔離された。
今夜はデートの予定があったから、私は今朝風呂場でかかとの古い角質を削った。すると角質の下に陶器の破片のようなものが触れて、私は心配になって皮膚科を受診したのだ。
かかとからは人工的な埋設物が発見され、異常な放射線を検知。すでにこの界隈は自衛隊と米軍の管理下におかれて、NASAから専門の担当官が向かっているという。
私のかかとには宇宙誕生の秘密が詰まっているとされて、続々と集まる研究者や政府関係者たちは、この宇宙とは違う、別の宇宙の存在まで語り合っている。誰も私の声を聞こうとはしない。
壮大な国家の研究の前では、私の漏れそうなおしっこなど問題にはならない。
ねえいいの?
公開:19/09/02 12:34

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