あなたが犯人で私が被害者

今から、お読み頂く物語の主人公及び、読者は、ただなんとなく、ショートショートを読み始めたあなたである。

今、あなたは自身の本が出版されたことに興奮を覚え、その狂気を味わっている最中である。

あなたが大雨の降る中、繰り返し続けた犯行がそこに面白おかしく鮮明に描かれている。

あなたは、自身のおかした罪がこんなにも世の中に過大評価されるとは思っていなかったので、尚更、嬉しさがこみ上げていることであろう・・・

あなたは興奮のあまり、自身の本を一気に読み終える。
今度、刊行する予定の本の題名を考えては、口元がにんまりする。

あなたが次の殺人をほのめかす前に、私があなたを捕まえる警察として物語を付記していく。

私は、あなたが犯行をおかすとは全く検討もつかなかった。
無意識があなたを狂気に駆り立てたのなら、他人の痛みを理解できない性格なのだろう・・・