技術革新と情緒の消滅

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画期的な舗装技術が開発された。

交通量の多い道路などでは、大型のトラックが走るたびに振動が発生したり、夜間でもタイヤの走行音が響いたりするが、この技術を使えば振動も騒音も一切なくなるというすぐれたものだった。

さっそく日本全国の道路という道路にこの技術が採用され、沿線での振動騒音対策は格段にすすんだ。

しかし、これによって情緒が失われたと嘆く人も出てきた。道路に降る雨の音さえも吸収され、雨音という概念が消えていったからだ。

さらに、これによって困り果てたものがここにいる。

そう、牡丹燈籠のお露であった。

「だって、せっかくお出かけしてるのに、カランコロンできないんだもの……」
ファンタジー
公開:19/09/03 20:43
更新:19/11/26 19:12
オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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