ともだち

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秋だ。私の盛りは過ぎた。
花は落ち、実は漬物になった。道の駅で人気だという私の漬物は早々に完売したらしい。
私はいつものように山すそを歩く。
私を覆っていた緑の葉は少しずつ枯れて、はらりはらりと散ってゆく。
私の肩で名残りのセミが鳴いていると思ったら、知らない老婆だった。
「お金がないの」
「ふしぶしが痛いの」
「さびしいの」
私はつらくなって、老婆をそっと、草むらに放した。
私の体で真っ先に枯れたのは耳で、葉と共に風に飛ばされた。鼻も乾いてひびが入っている。目は乾燥から瞬きができなくなり、使うことをやめた。
木枯らしが吹くと、私の足は崩れてもう歩けなくなった。
そのまま朽ちるのを待っていると、いつかの老婆が私に水をかけた。
「話をしましょう」
老婆は、かつて私の一部だった枝をつっかえ棒にして、私のまぶたを開けた。乾いた耳も河原で浸して届けてくれた。
それから私たちは、朝も夜も咲き続けた。
公開:19/09/03 20:02

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