カリヨン～組鐘

世界の夜明けを鳴らす者
彼女は刻読みのカリヨネゼ
組鐘楼に生まれ組鐘楼に死す
ただ一人のカリヨネゼ
Carillon de la voix de naissance
創始と終焉の鐘を打つ者

螺旋に絡めた荊の赤と青
彼女は刻待ちのカリヨネゼ
全霊込めてバトンを打つ
その為だけに命懸ける者
Carillon de la voix de naissance
いよいよ彼女の音が響く

光の洗礼が道を洗う刹那
彼女は刻告げのカリヨネゼ
吹き抜ける風に拳振り上げ
――打つ

Carillon de la voix de naissance
大地と天の鳴動を結ぶ者
Carillon de la voix de naissance
生涯一度の徴しを奏す者
彼女の鐘楼は紅蓮の流砂に崩れ
息絶える時に世界は産声を発す

Carillon de la voix de naissance
臍帯と羊水へ捧ぐ鎮魂歌