おつかれサマー

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夏休みの最終日。
「ただいま」
僕が飛んで家に帰ると、台所からは夕飯のいい匂い。
「サマー!」
襖を開けると、彼女はいなかった。首を振る扇風機。
「会いたかったなぁ」
布団に顔を埋め、彼女の匂いを吸い込む。やっぱり、お日様の匂いがした。
サマーはこの夏、友達になった笑顔が眩しい女の子。たくさん遊んだなぁ。
「おつかれ、サマー」

『ただいま』
おつかいから私は急いで帰った。
「早麻亜、手伝って」
『はーい』
母に返しつつ、私はメテオを探した。
どこにもいない。
メテオはこの夏、友達になった坊主頭の男の子。実は自分は宇宙の石ころで、宿題を手伝ってほしいと頼まれた。遊んでしかないけど。
『あっ』
軒下の風鈴がない。
そういえば、お土産ほしいっていってたっけ。
『宇宙で音鳴るのかよ』

流れ星にお願いし、その尻尾に僕は風鈴を吊るした。
ちりちりん。
この音が、遠く離れたあいつにも届きますように。
ファンタジー
公開:19/09/02 21:10
ホームワーク小惑生 クラゲ花火 とも一緒に楽しんでいただけたら

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

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