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隣の部屋から機械的な金属音が響き、それと間髪を入れず泣き叫ぶ声が聞こえる。悪の組織の手による拷問だ。

ここから逃げ出したくても逃げられない。俺の身長の倍はあると思えるやつがしっかりと脇にいてこっちを見ているからだ。しかも微笑みさえ浮かべていやがる。

刻々とその時が迫ってくる。次は俺の番なのだが、どうやってこの場を切り抜けようかと、そればかり考えている。

やがて拷問部屋から出てきたやつは、げっそりとしてうなだれている。こいつも巨大なやつに引きずられるようにして出てきた。

俺の名前が呼ばれ、そいつを横目に見ながら、監視役にうながされてその部屋に入る。がっちりと腕を掴まれて。

白衣の男がそこにいた。凶悪そうな顔をゆるめて笑顔を作っていやがる。

椅子に座らされ顔にライトが当てられる。まぶしくてたまらない。もうこれまでかと覚悟を決めた時、男がこう言った。

「はい、坊や、お口あ~んして」
その他
公開:19/09/02 19:25
更新:19/11/26 19:11
#中学時代に書いたもの オオカミの自信作

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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