吸い込まれる

0
6

抜けるような青空に向かって、娘は箒にまたがり、吸い込まれるようにぐんぐんと昇っていく。
娘は魔女の素質を持っている。妻からそれを聞いた時は驚いた。
そして今、その素質を目の当たりにして毎日が驚きの連続だ。
僕の所へ戻って来た娘は、太陽のような笑顔を浮かべる。
どうやったら箒で飛べるんだろう?僕は娘に聞いてみた。
「どうやったら箒で空を飛べるかって?う~ん…飛べるから、飛べる」
どうやら娘もよく分かっていないらしい。
「パパは難しく考えすぎだよ。鉄の塊の飛行機だって空飛ぶんだよ。なら、箒にまたがるだけで誰でも飛べるよ」
そういうものなのか?少なくとも僕は飛べないなぁ…
一度、箒に乗せてくれと頼んだら「重量オーバー」と断られた。やっぱり、空を飛ぶには自分の力でないといけないのか。
よし。僕は用意していた箒を手に持ち、また飛行を試みる。
小高い丘から勢いよく飛び立てば、僕の意識だけが空を飛んだ。
公開:19/09/02 18:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容