カウントダウン

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 初秋の青空に「5」という数字が浮かんで、SNSは空の写真であふれた。透き通った「5」は、日没後もぼんやりと空にあった。
 翌日は曇り。空には「4」という数字が見えている。炭酸飲料みたいシュワシュワした「4」という数字。明日はきっと「3」が現れるだろう。みんな、そう思って眠った。
 翌日は雨。雨粒がみんな「3」の形だった。「3」は「3」のまま道路に落ちると、普通の水溜りになった。
 雨上がりの翌日。水溜りには「2」が映っていた。空にも水溜りの中にも「2」はなかった。水溜りは一晩で乾いて消えた。
 翌日。「1」はどこにも現れていなかった。町中の人々が外へ出て、直立不動で晴れ渡った空を見上げた。その姿は無数の「1」のように見えた。日が落ちてからも、人々は誰一人その場を去らなかった。
 翌日。大空から、立ち尽くして空を見上げている人々と同じ数の、先端が「0」の形の縄が、スルスルと降りてきた。
ホラー
公開:19/08/31 13:34
更新:19/08/31 14:06

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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