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毎日乗る電車は大きな工場敷地内にある駅に止まる。関係者以外は駅から降りることは出来ない。
そこの作業員はすぐわかる。皆、グレーの作業服、短く刈った髪、そして席に座らず無言でただ窓を眺めて電車に乗っている。駅に着くと、一斉に作業員達は電車から降りる。まるで大きな工場に飲み込まれるように。
そして私は、その駅から電車が離れるとひどくホッとした。
ある日、私の目の前に立った作業員が知っている顔だと気づき、声をかけた。
「あの、差し出がましい事を申し上げますが、私の事ご存知ですか?とても貴方と親しかったような気がするのですが?」
その男は無表情なまま、覇気のない眼で私を見て
「ワタシの影だよ。君は」
何を言ってるんだ?
私は窓越しに映る自分の姿を見た。
私は黒い靄だった。
狼狽えていると、ワタシは私の上に座り、ずっと離れていたワタシと私は、いつもの駅を通り過ぎる。
ワタシが私である為に。
そこの作業員はすぐわかる。皆、グレーの作業服、短く刈った髪、そして席に座らず無言でただ窓を眺めて電車に乗っている。駅に着くと、一斉に作業員達は電車から降りる。まるで大きな工場に飲み込まれるように。
そして私は、その駅から電車が離れるとひどくホッとした。
ある日、私の目の前に立った作業員が知っている顔だと気づき、声をかけた。
「あの、差し出がましい事を申し上げますが、私の事ご存知ですか?とても貴方と親しかったような気がするのですが?」
その男は無表情なまま、覇気のない眼で私を見て
「ワタシの影だよ。君は」
何を言ってるんだ?
私は窓越しに映る自分の姿を見た。
私は黒い靄だった。
狼狽えていると、ワタシは私の上に座り、ずっと離れていたワタシと私は、いつもの駅を通り過ぎる。
ワタシが私である為に。
ホラー
公開:19/08/30 22:25
更新:19/08/30 22:26
更新:19/08/30 22:26
スクー
遠隔ブラック企業
最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。
「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。
なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。
でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。
Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2
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