カラーウインド

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日本気象機構は、無色透明な風に色を付ける触媒を開発した。
火山の噴火や山火事で吹く風は、その規模によって赤色や橙色に変わる。
雷雨で吹く風は、黄色に変わる。
森林で吹く風は、緑色に変わる。
滝の清流で吹くマイナスイオンの風は、その濃さによって青色や藍色に変わる。
風力発電所や風車、扇風機などで人工的に吹く風は、紫色に変わる。
上記の条件がすべて揃って風が吹けば、レインボーカラーに変わる。
放射能が混じった風は、その濃さによって黒色や灰色に変わり、原子力発電所で事故が起こった場合、危険区域を可視化する。
温室効果ガスの二酸化炭素が混じった風は、その濃さによって茶色や黄土色に変わり、地球温暖化の状況を把握する。
地震や津波、台風、竜巻、洪水、雪崩などの自然災害で吹く風にも、それぞれ色を付けることに成功した。
触媒によって色の付いた風は「カラーウインド」と命名され、防災・減災対策に役立っている。
SF
公開:19/09/01 05:20
更新:19/09/01 08:16
9月1日は防災の日

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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