色彩の魔術師と失われた色_(壱)

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「ダリル! いるんだろう? 開けてくれ」
けたたましいノックの音と声で眠りから引き戻された。
「こんな朝早くにどうした?」
そういってドアを開けた瞬間トーマスの姿に仰天した。
彼に色が全くなかったのだ。空の青、雲の白など他の物には色が見えている。
トーマスとはというと、顔を真っ青、いや蒼白にして今にも倒れそうだ。
「ははあ、これは消色病だね」
「治りますか!?」
「これくらいならお安い御用さ」
そういってコップに水を注ぎ、それぞれ赤、青、黄色の絵具を一滴ずつ垂らして呪文を唱える。
「さあ、これを飲むといい」
ひったくるようにコップを奪われ中身を一気飲みされる。
ほどなくトーマスの身体に色の斑点ができ、全身に広がった。

「さすが『色遣い』と呼ばれるだけあります! 助かりました」
「だてに色彩魔術師はやってないさ。私に用があるのだろう?」

トーマスは頷いて一枚の手紙を取り出した。
ファンタジー
公開:19/08/31 21:12

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
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