終活

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終活をしなければと考える歳になった。
この歳には自分の両親はすでに亡くなっているし、取り敢えずは収納庫から昔のダンボール箱を出し中身のチェックを始めた。
最初に開けた箱からは、長年勤めた会社に提出した年に2回の自己申告書の写しが出てきた。
営業実績や努力のアピール、目標設定値の達成度、自己研鑽のPR、配転希望等、頭を捻っては書いたものだ。
今になっては忘れかけていた時代の、思い出箱を開けてしまった。
一枚ずつ書類を読んでいくと、映画を見るようにその時のシーンが再現され上司や同僚、後輩の顔が会話と共に蘇る。
取引先の人達もあの人は良い人だったなァ、アイツは嫌な奴だったと思い出しては怒ったり、笑ったり、懐かしんだり切りがない。
整理するどころか、部屋中に書類が散らかったままだ。
残りのダンボール箱だけでも、まだ山のように積まれている。
これでは当分終活どころか、生活に忙しそうだ。良かった!
その他
公開:19/08/31 19:29

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