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「死にたい」と願ったのはいつ頃だっただろう?
少年はその気持ちを消せないまま大人になった。
頭の中、思考の中心にそれがやってくることは殆ど無かったが、頭の片隅にその願いはいつでも燻っていた。
やがてその男は人生の過渡期を迎える。彼は人生に置いて乗り越えるべき壁を尽く避け、逃げ続けてきた。いよいよ彼の生きる道は袋小路へと追い込まれていた。 だが男には究極の逃げ道があることに気付く。
「生きていることから逃げ出そう。」
それは即ち、死を意味した。
今まで何度か願ったが、男はその道を進むことは無かった。彼は死を恐れていた。「死」そのものよりも、その際の苦しみや痛み、未遂に終わった際の恐怖。
彼は生きる道を選んだ。この壁を乗り越えてみようと道を模索した。結局彼は人生の壁を何一つ超えることはできなかった。
そして彼は恐怖を乗り越え死を選んだのだった。最期に一番高い壁を超えたことを彼は知らない。
その他
公開:19/08/31 18:58

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