くま(第十三回『ハートのエース・その3』)
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仲居さんは、ちょっと困ったような笑みへと変えて。
「申し訳ありません。誰から預かったものかは、内密に、とのご要望をたまわっているものですから。」
それを受けて、あきちゃんが悪戯っぽく言う。
「どのみち犯人は締め上げてやるけどね。まあ、あっちは既に締め上げられているみたいだけど。」
二匹のクマを両手でぎゅっと抱きしめている娘を目にして、仲居さんも楽し気に微笑えんでいる。私は、娘のそばにかがんで耳打ちをした。娘は、コクンとうなずくと、仲居さんに向かって言う。
「おねえちゃん、ありがとう。」
この子のためにしてくれたことなのだから。
部屋に戻るとき、娘は振り返って、抱えていたクマをひとつ降ろすと、仲居さんに手を振る。
手を振り返してくれる仲居さんに、私は会釈を返し、あきちゃんはと見れば、かがんでクマを拾いあげると、その手をとって振っていた。
「申し訳ありません。誰から預かったものかは、内密に、とのご要望をたまわっているものですから。」
それを受けて、あきちゃんが悪戯っぽく言う。
「どのみち犯人は締め上げてやるけどね。まあ、あっちは既に締め上げられているみたいだけど。」
二匹のクマを両手でぎゅっと抱きしめている娘を目にして、仲居さんも楽し気に微笑えんでいる。私は、娘のそばにかがんで耳打ちをした。娘は、コクンとうなずくと、仲居さんに向かって言う。
「おねえちゃん、ありがとう。」
この子のためにしてくれたことなのだから。
部屋に戻るとき、娘は振り返って、抱えていたクマをひとつ降ろすと、仲居さんに手を振る。
手を振り返してくれる仲居さんに、私は会釈を返し、あきちゃんはと見れば、かがんでクマを拾いあげると、その手をとって振っていた。
ミステリー・推理
公開:19/08/31 14:51
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