科学幻想妖異記-ⅩⅦ.ゴッド

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クローン技術で俺を製造し、研究所という箱庭の管理者に育てたゴッド(親)。絶対支配者、文字通り『神』。自殺を含め、命令に叛く行為が出来ないエンジェルが、唯一対抗し得るとしたら、命令の範囲で枷を壊すしかないと思った。
フェンリルの生体培養。ウィルスを体内で制御しながら、増殖させ変異させ、活性ワクチンを量産する。人間の限界を引き出せるが、最終的に、神経が過負荷に耐え切れず死ぬ。
自滅と引き換えなら。冷凍保存で、麗華が新しい命令を下せなければ、破壊出来るかも知れない。その一瞬に賭けるしかないと。
深空が事件を起こさなくても、俺は中央管理室を廃棄し、麗華と共に、データと全サンプルを消去するつもりだった。
所詮は神の御心。堕天使は滅び、天の国はますます栄える。

「フェンリルは、新しい『志度』で継続するわ」
メスの刃が、ひやりと首を撫でた。
「それでまた、化け物を造るか?」
ゴキン。麗華の首が折れた。
ファンタジー
公開:19/08/29 15:18
更新:20/05/03 11:01

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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