科学幻想妖異記-Ⅶ.ハイドラゴン

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喫茶室の外は、実験済みの廃液プール。再生待ちのタンクがラボごとに並ぶ。5メートル強落下し、点検ハッチに着地。緩衝材が敷いてあるとは言え、さすがに足を挫いた。肋が軋んで悲鳴を上げる。
タンク側面の階段を降りる。すっかり夜も更けて、昼と遜色なく景色が見える。オリジナルの制御も限界だ。世界以前に、俺の時間がじき焉る。

――どぷん。タンクの一つが揺らぎ、地響きと共に爆砕した。
噴き出した溶液が宙をくねり、竜巻状に伸びる。尾の端がさっきまでいた中央棟を払うと、軌跡がこそげた様に塵になった。
特種危険生物、破調音竜(ハイドラゴン)。動く超音波破砕機だ。触れる物を高振動熱で蒸発させる。
理論上可能だとしても、実用化なんて聞いてない。さっきのウェアウルフも、この状況を招いた事故も。俺の関知しない所で、途轍もない企みが動いてる。

だが、今は中央管理室だ。必死に階段を駆ける俺に、ドラゴンの頭が迫ってきた。
ファンタジー
公開:19/08/27 00:12

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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