科学幻想妖異記-Ⅵ.ウェアウルフ

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キマイラの消化樹液を、喫茶室の流しで洗う。浅達Ⅱ度じゃ死にやしない。中央管理室まで保てばいい。
「失礼ですが、所長の志度・R・バーグレイ博士?」
入口から投光器を照射されて身構える。まさか『上』の処理班?時計を確認するが、5分は早い。
「ええ。私が志度です」
唸りを上げた飛来物が、真横を擦り抜けてタイルにめり込んだ。
「貴方には、背任とテロ容疑で、拘束命令が出ています」
捩れたパイプ椅子が暗示的でぞっとする。有無を言わさず始末すればいいのに、御丁寧な事で。
「……灯りを消して下さい。強光線は、お互い毒でしょう」
「両手を頭の後ろで組」
ライターを検知機に放る。スプリンクラーから水と消火剤が散布される。苦手な水だ、喉が灼けるだろう。
強毒ワクチン『人狼装甲(ウェアウルフ)』の副作用、恐水症。五感も全部、鋭敏過ぎて辛いはずだ。
怯んだ隙に窓へダイブ。
劣化コピーに、オリジナルが負けてたまるか。
ファンタジー
公開:19/08/26 20:44

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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