扉を開くと・蝶番

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扉を開くと、蝶番がドの音を奏でた。
“人間には見えない”僕らが暮らしているのは、この古びた屋敷。
ここにはいたるところに扉がある。それらがそれぞれ、ドレミファソラシドと音階を奏でていることを、僕は発見したのだ。
仲間たちにこの話をした。最近人間がやってこなくて退屈していた彼らは
「人間を驚かせるのにも飽きたし、それで音楽を奏でて聴いてもらおうよ」
と話し始めた。
決行は3日後だった。

扉は開ける速度によって音が半音上がったり下がったりする。
扉の建付けを調節すれば音がオクターブ上がったり下がったりする。

最後の確認を終えて、全員配置につく。
蝶番の近くにマイクをセット。それはアンプに繋いである。
「さあ、行こう、みんな!」
「「おー!」」



あれから数年経った。世界各地から僕らの噂を聞きつけた仲間たちが増えた。観客もたくさん。

今夜も古びた屋敷では、ユウレイたちの演奏会が始まる。
ファンタジー
公開:19/08/26 07:53
更新:19/08/27 22:09
#扉を開くと

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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