科学幻想妖異記-Ⅺ.ゴースト

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エンジェルチルドレンについて、深空に説明の必要はないだろう。5年前、研究所に飛ばされるまで、『上』でやってた事だ。
エンジェルバンク――別名クローン銀行。体細胞クローンを育成貯蔵し、本体の老化や病変部位を、移植手術で交換する。拒絶反応を起こさない、新鮮で健康な『人工』臓器。
本体をゴッド(親)、培養されたクローンを、エンジェルチルドレンと称んだ。
「あれは、3年で切られた。コストと手間に見合わなくて。それに、クローンは知能も、用がない限り性別も……」
「俺は現在5歳半。バンク凍結直前に製造された。脳切除による知能抑制なしに、服従反射だけ植え付けられて。身体の方は、表面は加工してるが、脱げば一目瞭然だ」
教えず済ます予定だったが、状況が変わった。深空も当事者なら、知ってもらった方が良い。
「俺の役目は、代替(クローン)じゃない。影武者(ゴースト)だ」
隔離された、中央管理室の扉が見えてきた。
ファンタジー
公開:19/08/27 23:21

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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