吸い込まれる

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今、私の住む小さな村では流行病が蔓延し、誰もが病床に臥せっている。
私はこの危機的な状況に最後の手段を使うことにした。
「俺様を呼び出したのはお前か?」
目の前にはこの世の悪を煮詰めたような存在、悪魔が立っていた。
「そうだ…村の皆を助けてくれ…」
私の魂一つで皆が助かるのなら安いものだ。私は、自らの命を懸けて悪魔を召喚した。
「ほほぅ…確かに今、この村は良くない空気に満ちている。人間には苦痛でしかないだろう…しかし!悪魔である俺様には何と気持ちのいい空気か!よかろう。その願い、叶えてやる。しかし、俺様がこの空気を堪能してからだがな!」
悪魔は高笑いすると外に飛び出した。

1時間後
「ごほごほっ…すまん…風邪を引いたようだ…願いはまた今度にしてくれ…」
悪魔は帰ってしまった。
私が外に出ると空気は澄み渡り、村の皆も元気を取り戻していた。
どうやらあの悪魔に流行病は全て吸い込まれたようだ。
公開:19/08/27 18:36

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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