科学幻想妖異記-Ⅸ.フェンリル

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バイオガンを俺に向ける深空と、ウェアウルフ達。
棟内を進む間も、妙だとは思った。突然の爆発事故。バイオハザード。混乱必至の現場で、非常ボタン以降、俺は被害者にも避難者にも、ほぼ出くわさなかった。
おまけに20分はとうに越して、『上』が動く気配もない。
「深空徹博士。『上』とどんな取引をした?中央管理室から、何を持ち出す気だ」
「偉そうにほざくな。反逆者が」
「研究所は廃棄すべきだ。世界が焉る前に」
「世界なんざ知った事か。俺は麗華が救えればいい」
ウェアウルフが拘束に掛かる。抵抗すれば、手足を折るくらいするだろう。眼球さえ無事なら、管理室は解除出来る。
「……分かった。ただし、命は保証しないぞ」
俺に触ったウェアウルフ達が、痙攣して倒れる。
「志度……今、何した」
「アナフィラキシーだ。劣化コピーが感染すれば、急性麻痺で死ぬ」
魔狼血漿(フェンリル)。俺の血に含まれる、ウェアウルフの原型。
ファンタジー
公開:19/08/27 17:43

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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