科学幻想妖異記-Ⅷ.リバイアス

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ハイドラゴンの頭が迫ってきた。有効距離は3メートル以内、指向性が高い分、範囲は絞られる。
耳と頭が割れそうに痛い。セイレインの比じゃない。階段を踏み外し、暴れて転がる。100メートル空いてこの様。今の可聴域と聴力が、人間の遥か上だからだ。
気が狂う前に、鼓膜を破るしかない。8割削ってやっと常人だ。耳に突っ込んだ指に力を込めた。

――ピィンッ――。
音速の矢が背中から耳をつんざき、ハイドラゴンを射抜いた、様に感じた。
溶液の竜巻が崩れ、タンクの破片を流して広がる。痙攣じみた喘ぎと、異常速の心音が聞こえだした。
中央棟の、別れた地点より数階下の窓に、バイオガンを構えた腕。
「動くな。さもなきゃ命中させる」
呟きが怒鳴り声に聞こえる。反調竜波(リバイアス)――ハイドラゴンの逆。それも弾丸サイズに凝縮?研究所の総力を結集したって不可能な芸当だ。
いや。可能な人間が一人いる。
正確には『いた』だ。
ファンタジー
公開:19/08/27 12:32

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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