扉を開くと ~エピローグ~

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扉を開くと、マスターが僕を扉の前で待っていてくれた。
「いかがでしたか? 楽しんでいただけましたか」
「はい……」
すっかり圧倒されて、呟くようにしか声が出なかった。
「少しお疲れのようですね。コーヒーと甘いお菓子でもどうです?」

午後7時。夜になると午前中の気温が嘘みたいに涼しくなる。
湯気が上がるコーヒーを一口啜る。ふわりと優しい香りに包まれる。頭の中がすっきりしていく感覚。
「あのコレクションは、この喫茶店の前マスターだった祖父のものなんです。彼はとにかく不思議なものが大好きで」
「面白い世界でした……」
「それはよかった。またいらしてください。コレクションたちも、いつでもあなたのことを待っているはずです」


「では」
「はい、ありがとうございました」
店の扉を開いた。
コーヒーの匂い。


……あれ、僕はどうしてここに?
後ろをふり返ると、そこには扉の絵が描かれた壁があった。
ファンタジー
公開:19/08/27 11:34
更新:19/08/27 22:11
#扉を開くと

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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