神様の自由研究

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これは昔々のお話。神様がいる天界にも子供たちがいて、小学校に通っている。
今はちょうど夏休みだけれど、遊んでばかりはおられず、自由研究が宿題になっている。
アニメーションが大好きな創造の神の子供は、描いた絵を瞬時に入れ替えることで、あたかも動いているかのように見せる、回転のぞき絵を工作している。
等間隔にスリット(隙間)をつけた円筒の内側に、連続する動きのある絵を帯状にして貼り付け、回転させてスリットを覗くと、絵が動いて見える仕組みだ。
物を見たときにすぐ目を閉じても、網膜にその情景が残ったりすることを残像現象という。回転のぞき絵は、そうした視覚効果を利用している。
回転のぞき絵は「ゾートロープ」と呼び、ギリシャ語のzoe(生命)とtrope (回転)を組み合わせた言葉で、生命の輪という意味がある。
だから、地球は自転し、下界にいる我々は地球上で生きている。そして、死に際には走馬灯を見る。
ファンタジー
公開:19/08/25 06:31
夏休み 宿題 自由研究 工作

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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