タイムマシン

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「あなたは過去に帰り、人生をやり直したいと思っていますね。」
目の前に現れた見知らぬ少年が、僕に突然話しかけてきた。

図星だった。やり直せるならやり直したい。僕の人生は袋小路に追い込まれた。こんなにも孤独になる前に戻りたい。ひどく寂しくて、大の男が毎日泣きそうになっていた。
だが見知らぬ少年に打ち明けるような事ではない。第一、怪しい。

少年は僕の返事を待たず、話を続ける。
「私は貴方を過去にお連れすることが出来ます。」

帰りたい、喉から出かかった言葉を飲み込んだ。何かの怪しい商売か宗教の勧誘だろう。

「このタイムマシンに乗れば貴方を過去の好きな時代にお連れすることが出来ます。ただ、過去の自分に帰るのではなく、今の貴方を連れて行くのです。」
半信半疑ながら話に乗ることにした。過去の自分に帰るよりかえって手っ取り早かった。
結婚前の両親の仲を引き裂こう。そしたら僕の存在は消える。
SF
公開:19/08/25 01:31

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