飛文症(ひぶんしょう)

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画面から目を離し、寝転がって電灯を見たりすると、――ふい、と横切る。
『……』サイズ4,5か?習い性でフォントに変換してしまう。出来れば標準10,5に、あぁ見えた。『たのだった。』さっき書いた話の結びだ。

飛蚊症(ひぶんしょう)の一種だと医者に言われた。
文字の残像が、眼球内に焼き付いて影を落とす。大抵、直前に見た文章の切れ端になる。視点を変えると付いて回り、今みたいに伸縮する事もある。一定時間で残像は消えるが、またすぐチラつく。
常に文字ばかり追って、目を酷使するのが原因だ。このままだと視神経も網膜も硝子体も、文字の影に埋め尽くされて真っ黒に染まる。失明が嫌なら生活を改めろと言われた。
『と言われた』ほら、ちょっと続けるとこの調子。
既に視野の大部分が『…るとこの調子』冒されて『されて』画面から離れると文字しか『離れると文字しか』見えない。だから結局ずっ『と、文字を追わざるを得ない。』
ホラー
公開:19/08/25 00:00
更新:19/09/04 23:59
本当だったら怖い仮定の医学 飛文症

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

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