ボーナス・ハートビート

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「やぁ田中さん。君にぴったりのエンジンが入ったよ」
「嫌な時代だねぇ。人間ドックにくるたびどんどん生身が削られて。ハートの音まで取られちまったら俺はもう人間じゃねぇよ」
「まぁまぁ、自前の心臓じゃもうどうせ長くないんだ。こいつは君の感情に合わせて心音を変えてくれる。さらに特別サービスでボーナストラックもつけておいた」
「なんだって?」
「サイボーグだって人間さ。けど君は心配性だからね。不安になったら心臓の音を聞くんだ。君が人間として正気を保てるように、ある音が再生される」

 俺は心臓を機械に替えられた。医者はああ言ったが、機械の心臓は本当に俺の気持ちが分かるのか?俺の感情が、逆に機械の心臓に制御されてしまうのではないか?
 俺は新しい心臓に耳を澄ました。

 ドク   ドク   ドク

 聞こえる…医者の声…?

 ドック ドック ニンゲン! ドック ニンゲン! ドック ニンゲン!
SF
公開:19/08/24 20:41
スクー 人間ドックのボーナス

10101298

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