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インターネットグルメマップ上の、山深い峠付近に、ビョン! と赤い旗が立っていた。クリックしてみると「鮨屋」だという。
「こんな山の中に鮨屋?」
俺は、連休を利用して、その鮨屋に行ってみた。家を出たのが朝9時で、到着したのは午後6時だった。
木目も鮮やかな白木作りの店の前には、濃紺の暖簾に白く染め抜かれた「鮨」の文字がすとんと垂れていた。
緊張して店に入ると主人は意外と若い。俺は八千円のお任せを頼んだ。そこへ新しい客が入ってきた。
「大将。またきたぜ!」「へい毎度!」
その客は「いつもの」と注文すると、俺に向かって話しかけてきた。
「こんな山奥に鮨屋だなんて驚くだろ? 何度も通ってる俺だって、次の日には、夢だったのか? って気になるね。それで、また確かめに来ちまうのさ。あんたも絶対そうなるぜ」
次の連休。俺はまた鮨屋へ向かった。だが、そこには杉の巨木が林立しているだけだった。
「こんな山の中に鮨屋?」
俺は、連休を利用して、その鮨屋に行ってみた。家を出たのが朝9時で、到着したのは午後6時だった。
木目も鮮やかな白木作りの店の前には、濃紺の暖簾に白く染め抜かれた「鮨」の文字がすとんと垂れていた。
緊張して店に入ると主人は意外と若い。俺は八千円のお任せを頼んだ。そこへ新しい客が入ってきた。
「大将。またきたぜ!」「へい毎度!」
その客は「いつもの」と注文すると、俺に向かって話しかけてきた。
「こんな山奥に鮨屋だなんて驚くだろ? 何度も通ってる俺だって、次の日には、夢だったのか? って気になるね。それで、また確かめに来ちまうのさ。あんたも絶対そうなるぜ」
次の連休。俺はまた鮨屋へ向かった。だが、そこには杉の巨木が林立しているだけだった。
ホラー
公開:19/08/21 19:16
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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