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「ううっ寒い寒い。あー、まだ準備中か…」
開いていたドアから覗くとマスターが手招きしてくれた。

あの日もこんな灰色の空だった。
カウンターに常連らしい2人。
「雨上らないかな。サーフィンに行くのに。」
「新しいボード買ったって?」
「うん、ちょうどあんな感じの色。」
「うわっ派手!ねぇマスター。」
「夕焼けの色ですね、明日は晴れますよ、きっと。」
窓際のオレンジ色のワンピースの少女を眺めながらマスターが言った。
翌日梅雨が明けた。

「どうぞ。」
「あぁ美味しい。図々しくすみません。常連でもないのに。」
「毎日来て下さるから常連というわけではありません。ここのコーヒーを好きで来て下さる方が私には大切な常連さんなんです。あの方もね。」

窓際の席にあの少女がいた。今日は真っ白なワンピースを着ている。

「雪になりそうですね。傘はお持ちですか?」
僕は何のためらいもなく傘を借りることにした。
その他
公開:19/08/21 12:24
更新:19/08/21 14:37

文月そよ

のんびりゆるぅり書いてみたいと思います。

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