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幼い頃、お盆になると父方の田舎に帰っていた。裏山にセ実の木がたくさんあって、旬のセ実を木からもいでポリポリ食べるのが楽しみだった。ばあちゃんが、セ実を庭に埋めれば何年か後に木になって、またたくさんセ実が生るよなんて笑っていた。
セミが果物じゃなくて虫だと知ったのは高校に上がってからだ。
「前前前世ほど昔の話さ。でもどんなに忘れたくても、盆になると蘇るんだ。前前前世、いやミンミンミン世の記憶が」
カウンターで店主に零すと、隣に座っていた女性が呟いた。
「鳴けるわね」
「鳴いてくれるのかい? 俺のために」
俺がそう言うと、女性はカウンターの裏にへばりついた。
「ミンミンミンミンミン」
「そのセミの名は……アブラゼミ」
「クマゼミよ」
店主がシェイカーで合わせる。
シャカシャカシャカ! シャカシャカシャカ!
「……ツクツクボウシ」
「ヒグラシです」
忘れられない夜になりそうだ。
セミが果物じゃなくて虫だと知ったのは高校に上がってからだ。
「前前前世ほど昔の話さ。でもどんなに忘れたくても、盆になると蘇るんだ。前前前世、いやミンミンミン世の記憶が」
カウンターで店主に零すと、隣に座っていた女性が呟いた。
「鳴けるわね」
「鳴いてくれるのかい? 俺のために」
俺がそう言うと、女性はカウンターの裏にへばりついた。
「ミンミンミンミンミン」
「そのセミの名は……アブラゼミ」
「クマゼミよ」
店主がシェイカーで合わせる。
シャカシャカシャカ! シャカシャカシャカ!
「……ツクツクボウシ」
「ヒグラシです」
忘れられない夜になりそうだ。
青春
公開:19/08/21 08:36
スクー
忘れたいセミ
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